警察官に疑われた経験

冬の仕事で

昔、鍵修理業者として働いていましたが、
そこでは他の職業では考えられないようなハプニングがいくつも起こりました。
今では転職して別の仕事をしていますが、鍵修理業者として働いたことはとても良い思い出として残っています。

たとえば、鍵修理業者として間もない20代前半だった話です。
とある冬の夕方、国産車インロックで開錠依頼の電話がかかってきました。
インロックとは鍵を車内に置いたまま車内に出て鍵を閉めてしまうことです。
自動車だけでなくホテルなどでよくあることなので、気をつけてほしい行為の一つです。
そのインロックで困っていた依頼主のところまで業者の車で行くことになりました。
そこは周囲に何にもない駐車場で自動車の前に立っている人がいたのです。
その人が依頼主だとすぐに分かりました。
簡単な状況説明や料金設定などを終えて、さっそく開錠作業を進めました。
でも、当時はまだ鍵修理業者となったばかりで開錠のスキルは決して高いとは言えませんでした。

しかも、冬の夕暮れで駐車場の照明がほとんどなく手元が暗くなるのです。
そのため、開錠に手間取ってしまいました。
寒い冬の夕方で、依頼主を待たせるのは悪いと思ったため、私が乗ってきた業者の車の中で待ってもらうことにして開錠作業を進めました。
その作業中、背後からパトカーのサイレンの音が聞こえてきたので、すこし嫌な予感がしてきました。
それでも仕事なので、そのまま開錠作業をしてきましたが、
パトカーは最終的に私のすぐ後ろで停止してしまったのです。

警察に通報されて

そして、こちらにライトを当てられて「何やってるんだ」と叫ばれてしまいました。
想像していた嫌な予感が当たってしまったのです。
きっと、車上荒らしと間違えられて通行人か近所の人に通報されたのでしょう。
暗い駐車場で一つの自動車の周りで何か作業をしているのですから、怪しまれても仕方がないかもしれません。

でも、何ら違法なこともしていませんし、正常な仕事をしているのです。
そのため、きちんと警察官に事情を説明することにしました。
といっても口で説明しても理解してもらうことは難しいでしょう。
だから、私の車で暖をとっていた依頼主に一度降りてもらって警察官に、現在の状況を理解してもらうことにしたのです。
依頼主がきちんと説明してもらったため、警察官の不信感も払拭することができました。

それだけでなく、警察官に自分が鍵修理業者だということを知ってもらうきっかけとなりました。
このように仕事の内容から警察に通報されることは度々起こりました。
そのとき、自分の顔を警察官が覚えてくれたため、その後の仕事が潤滑に進めることができたのです。
ある意味、警察官に顔を覚えられて一人前の職業と言えるかもしれません。
もちろん鍵修理業者をやめて転職してしまったため、それ以来警察官と関わることがありませんが、
鍵修理業者として働いていた経験は将来も役立つことができると思っています。