修理業者をやめた理由
30歳になって鍵修理業者を辞めて別の仕事に転職してしまいました。
その辞めた理由にはいくつかありますが、その一つに一戸建て住宅の防犯性能が高まったことが上げられます。
同業者の人がいうには2003年くらいから、どんどん要塞化されていったイメージがあるとのことです。
要塞化という表現が大げさだと思っている人も多いかもしれませんが、鍵修理業者から見れば的を射ている表現だと思います。
なぜならば、玄関のドアは2ロック(つまり鍵が二つ)が当たり前ですし、ピッキングするのもほとんど不可能のものが多いのです。
他にも煙返しが普通に取り付けられていますし、防犯サムターン使用の錠前も見かけるようになったのです。
そのため、防犯性能の高い住宅で鍵を紛失した人からの開錠の依頼をされても難しいことが多いのです。
少し経験を積めば、現場の住宅を一目見るだけで、「ここでは玄関ドアのピッキングは無理だな」と分かるくらいです。
そのため、玄関以外でも何らかの方法がないかといろいろ試すこともあります。
玄関から入れない場合は
たとえば、腰高窓やトイレ窓などからの進入が可能か確認します。
家に入ることができれば、内側から鍵を開けることができるからです。
でも、防犯性能の高い住宅です。
すべてのガラス窓に面格子が取り付けられていたり、シャッターがついていたりと、ご丁寧に防犯対策を施しているサッシメーカーを利用していることが多いのです。
昔なら面格子を取り外すこともできましたが、ワンウェイビスを利用されているため最近のでは難しいのです。
さらに、何とか面格子を外しても、今度は特殊な2重ロックのガラス窓です。
たったの1つの鍵を開けるために悪戦苦闘を続けなくてはならないのです。
ただ単刀直入に玄関の鍵を開ける方法はないわけではありません。
玄関シリンダーを破壊してこじ開けることは可能なのです。
また荒っぽい方法ですが、ガラス窓を割って入る方法もあります。
でも、最近ではガラス窓に防犯ガラスを取り付けているケースも少なくありません。
防犯ガラスを割るには少々手間がかかるものなのです。
でも、鍵修理業者の鍵開けは原則無破壊開錠なので、最終手段と言えるでしょう。
依頼主の許可を得る必要がありますが、シリンダーやガラス窓の交換が必要なため、断られてしまうことも多々あります。
そのときは、収入は全くないのです。
要塞化された住宅は開けるのが困難
このように、鍵修理業者は要塞化された防犯性能の高い住宅によって、仕事を奪われることが多いので、転職を余儀なくされました。
もしかしたら、転職を考えている鍵修理業者も多いかもしれません。
だからこそ、今でも鍵修理業者として働いている人を尊敬しています。
鍵修理業者の数は年々減少しているかもしれません。
しかも、防犯性能の高い住宅では鍵修理業者でも無理なことがあるので、なるべく鍵を失くさないように注意してほしいです。
そして、鍵修理業者でも諦めてしまうことがあるので、そのときはどうか分かってほしいと思っています。